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2005年05月22日
旅行記を書き始めていきなり旅のクライマックスへ。 朝6時にStuttgartを出発し、走った方が早そうなICEというドイツのSper Expressに乗る。途中Strassburgで4時間ほどフランス滞在。その後無事黒い森の宿泊先に到着したのは夜8時。それでもドイツは日が暮れるのが10時頃なのでまだまだ明るい。 これが宿泊先の村の1ブロックの表札。 その農家で牛と共に2泊。 現存する黒い森が標高2000Mの厳つい山の上にあると全く知らなかった私はこの景色にびびる。 最終日にRaumgestaltを訪ねる。一応アポを事前にとったものの、先方が出荷作業で多忙だったため、こちらが黒い森を発つ前の15分しか時間をとることができなくなってしまった。 非常に遺憾だったので彼女(Raumgestalt代表は驚いたことに結構年輩の女性だった。若い男性数人だと勝手に思いこんでいた。)あての手紙をしたためつつ訪問時間まで暇つぶし。 ロバはかわいいなあ。 その後、最後の審判を受けるような謙虚な気持ちでRaumgestaltへ。 先程したためた手紙の内容など、色々聞きたかったことを友人に翻訳してもらう。 実は先程の梱包作業は日本宛の商品のためだったらしい。15分で終バスが出てしまう事を知り、「車を手配するのでゆっくりお茶でも」と誘っていただく。近々初めて日本へ渡る予定だったらしく、日本のことを色々聞きたいとのこと。運が良かった! 先程「こんなど田舎で・・・」と失礼なことを書いたけれど、その考えはまさに日本特有の見方。 オフィスの所在地が死活問題の日本のデザイナーの誰も?がこんな場所でのびのびデザインができたら・・・と一度は思うだろう。 私もロバと一緒にデザインしたい! 話を戻してRaumgestaltの商品について。 サイトは残念ながらドイツ語のみだが、日本で日本語版のカタログなども出ており、改めて商品のコンセプトなど見せていただく。 「ドイツの日常的、伝統的な生活の仕草」を製品として再現し「それらの仕草を儀式化して現在の生活の中に再生させる」というのが、私の解釈するところの彼女の製品コンセプトだと思う。 例えば「チーズを切る」という行為は、ドイツ人にとっては毎度の食事でおなじみのささいな仕草。それに意味を与え、日常の中に「特別感」を作り出す彼女の製品は、必然的に素材・デザインの一つ一つが繊細である。 デザインは非常にシンプル。素材の質感が非常に身にしみる。「コンセプトがまずある。形はコンセプトに寄り添うように必然的に決まる」のだそうだ。
中でも非常に感動したのが「点字」のシリーズ「fuelen und sehen」(feel and see)。磨りガラスの処理を施した白い陶器に点字で「ふわふわのカップ」などと記載されている。これでお茶を出していただいた。 点字というのは世界で共通の言語らしい。 日本語と英語とドイツ語の狭間で七転八倒中だった私の脳裏に、「盲目の者ほどよく見える」という白州正子が能について書いた本の一節が浮かんだ。「健常者の能面の穴は小さく、盲目の能面の穴は大きい。だから能の舞台では盲目の役の人ほど舞台全体がよく見える。これは逆説的で面白い」とかそんな話だった気がする。 盲目の人ほど世界と繋がっていて、いつも目に見える言語の上っ面を追いかける私たち健常者は言語が大きな壁になっている。遠いドイツでこの商品に出会ったことがすごく特別な瞬間であるように思えた。 素敵な商品だと思ったのだが、欧米ではあまり売れていないらしい。 話の合間になんとか「ままごと喫茶倍尺てぬぐい」を渡す。割と喜んでもらえた。「製品として販売しないのか?」と有り難いお言葉をかけていただく。 そしてまたしても「じゃあテーブルクロスに」と・・・なぜかドイツでは皆、掛け軸かテーブルクロスにしたがるらしい。長い布は全てテーブルへ。 包装に使った赤いヒモと小さな鈴が非常に気に入った様子。ついでに説明した折り形にも興味を持っていただいた様子。 「私は将来あなたのしているデザイン活動と同じコンセプトを日本で展開してゆきたいと常々考えておりました」と伝えると、非常に喜んでいただけました。「日常に埋もれた伝統的な仕草の具象化」が今後の課題です。もっと日本を勉強しよう。 彼女はAmbiente Japanに出展するらしいので、興味をもたれた方は以下ご参照ください。 インテリア ライフスタイル展 "Ambiente Japan" 2005年6月8日(水)〜10日(金)
日本では石川倉次という人が明治時代にルイ・ブライユの点字を元に仮名文字48種を表す点字を発明しているので、欧米はともかく、日本ではまた別のようだ。 |
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